営業は言葉を武器にした専門家――。セレブリックスマーケティング本部長の熱き魂
セレブリックスの執行役員 カンパニーCMOを務める今井 晶也。「言葉の力」を信じ続けてひた走ってきた彼が今、心のなかに抱くのは営業という職業に対する誇りです。「Sales is cool構想」と銘打った理想を掲げ、営業の専門性と価値を高めようと考えていました。今回は、そんな今井自身のキャリアと理想を語ります。
セレブリックスは「今を生きる営業」の情報が溜まっていく組織
2021年現在、私はマーケティング本部の本部長として、セレブリックスのマーケティング活動を担っています。セレブリックスという会社について、世の中の人はもちろん、社員にも知って頂き、ファンを増やすという活動です。
マーケティング本部はセールス、マーケティング、デジタル化推奨、新規事業開発の4つの部門で成り立っています。本部長としてマネジメントに携わりながら、「営業といえばセレブリックス」と言われる世界を実現するために、思いを巡らす日々を過ごしています。
また、セールスエバンジェリストとして、法人営業の研究と講演活動も担当しています。セレブリックスでは、23年の歴史のなかで12,000を超える商品の営業支援実績があり、現在も常時70前後のプロジェクトが稼働しています。私たちの主力事業である営業代行というビジネスは、文字通り依頼主に代わって依頼主の商品を代わりに営業する仕事です。このビジネスの特性柄、いろんな業界や業種の垣根を超えた営業の情報が溜まっていきます。
仮に、70プロジェクトに合計500名のメンバーが配属されているとします。このメンバーが毎日50件電話をかけた場合、蓄積される営業データは、1日で2.5万件。それが20営業日になると50万件もの膨大なデータとなっていく──。私の仕事はこうした営業データを研究し、『いま、営業現場でいきる情報』を言語化して伝えること。このように世の中の営業に困っている方に手を差し伸べていくことが、私のもう一つのミッションです。
“嫉妬”をきっかけに営業の道へ
私は小さい頃から目立ちたがりで、「口から生まれた男」と言われるほど良く喋る少年でした(笑)。人前で話すことを繰り返すうちに、多くの人に注目されたり、上手く表現できた時に快感を得るようになり、いつしか言葉を使って人に影響を与える人物になると言い始めるようになりました。
言葉を使った影響力の最高峰って何だろう?と考えたとき、真っ先に浮かんだのが俳優だったため、社会人になる前は役者を目指していました。いつだってその日が最高のパフォーマンスであるという、プロフェッショナルな姿にも憧れを感じましたね。
しかし、役者への未練はありません。なぜなら俳優という仕事を通して発揮したかった影響力(言葉で人を動かす)は、今の仕事で存分に発揮されているからです。今となっては営業という仕事もエバンジェリストという役割も、天職だったなと思えます。
では、なぜ現在の仕事に就こうかと考えたか?きっかけは嫉妬でした。あれはもう12年以上前に参加した交流会での出来事です。このまま俳優を続けて良いのか……と覚悟が決まらずフラフラしていた私は、ある事業家と出会いました。
自信に溢れるたたずまい、どんな相手にも謙虚な姿勢、大人びた発言や視点……。まるで小説に登場してきそうな人物なのですが、話をしていると、なんとその事業家は私と同じ歳だったのです。同じ年代でここまで差がつくのか……。そして、ビジネスマンってカッコいいなと思いました。この時に私に芽生えたのは強烈な嫉妬と競争心です。私の目指していた影響力はビジネスの世界にあると自覚した出会いでもありました。
ところが私は高卒で、経験もないし選べる職も限られている。それでも人生大逆転できるものは何か?と考えたんです。学歴や過去を評価されるのではなく、今を評価される環境で働きたい。その答えが営業でした。営業であれば、隣にいる人がどれだけ素晴らしい経歴の持ち主だったとしても、スポットライトが当たるのは売れている人。この仕事であれば今の自分で勝負ができると思いました。
そうしたなかでセレブリックスを選んだ理由は自分が手にしたい影響力を磨ける会社だと思ったからです。Webサイト、面接、パンフレット……。セレブリックスに触れるいたる場面で、言葉が研ぎ澄まされていることを感じました。それでいて自分たちの仕事に対する誇りと自信を感じました。私が嫉妬した事業家を超えたいならここしかない。そんな思いで入社を決めましたね。
勉強と研究が、“大逆転”の火種となった
どうせやるなら徹底的にという考えがあり、営業を始めるならトップクラスを目指そう思いました。セレブリックスであれば、多種多様な業界の営業を学ぶことができ、営業を教えるという立場も経験することができます。この会社でトップになれば、営業の権威者になれるだろうと考えていました。2008年3月に入社してからは、こうした想いのもとひたすら実績を積み上げてきました。
転機が訪れたのは33歳の頃です。営業にもプレゼンにも自信があり、トークだって負けていない。それでもまだまだ上を探せばキリがない状況で「これから自分は何者として生きていくのか?」と考えるようになりました。言葉を仕事にして生きていこうと、自分の人生を再定義していきました。
言葉を通して私が着目したことは3つ、まとめる・伝える・動かす、です。表現方法は、書くでも描くでも話すでも構いません。複雑なものをわかりやすく伝える、代弁者になることを私の役割と決めました。
幸いにもセレブリックスには冒頭でお話した営業データが溜まる環境があったため、法人営業・新規開拓・プレゼンテーションを専門にした『セールスエバンジェリスト』(営業領域に専門を持つ代弁者)を名乗るようになりました。当時はまだ、エバンジェリストを名乗るビジネスマンは多くありません。そのようななかで、この肩書きを名乗るのはプレッシャーとむず痒い恥ずかしさがありました。
しかし覚悟を決めた以上、あとはやり抜くだけ。セールスエバンジェリストの名に相応しい人物になるために、調査・研究・登壇など対外活動に力を入れていきました。そのたゆまぬ努力の結果、イベントや記事、SNSなどを通して認知されるようになっていったのです。
結果として、何もなかった落ちこぼれキャリアの自分が、ひとつのことを突き詰めることで人生を大逆転するチャンスを掴むことができました。そんなセレブリックスと、営業という仕事に恩返しをしていくことが、次の自分のステージだと思っています。
「営業はカッコいい」を伝道していくために
私は今後、「Sales is cool !=営業はカッコいい」という営業革命を起こしていきます。
残念ながら、現在営業として働く人のうち、57%の方々は他の人に営業職をおすすめしたくないと考えているそうです。なぜおすすめしたくないのか?という問いに対する解像度を高めると、そこには「成果が出ないから」という理由があります。
退職理由としてよくあげられるのは人間関係ですが、成果が出ない、売れないという理由から、人間関係が苦しくなっていくのです。売れていない人が無理やり営業をしようとすると、顧客は強引な営業やトークに振り回されて商品を買うことになります。
その結果、顧客は商品をうまく使いこなせず、営業という仕事を嫌いになっていくのです。そうなると営業はやりたい仕事ではなく、誰もが通る苦しい道のりというポジションになり、どんどんと市場価値が下がっていきます。
海外では営業という仕事に誇りを持っている人が多いのですが、これは顧客の事業推進を担うパートナーであるというコンサルマインドの強さが理由です。日本もそんな風にマインドを変えていくことができれば、負の循環を止めることができるだろうと考えています。
私は、営業職として働く人を今より半分に減らしていきたいと思っています。それはもちろん「嫌われている仕事だから」ではなく、専門性を高めたいという意味です。技術職は適性がある人のみが就く仕事と認識されているにも関わらず、新卒はとりあえず営業職という構図ができていることに疑問を感じます。営業職はプロ集団として、目指したい存在であるべきです。
営業という仕事は言葉のプロフェッショナル。縁もゆかりもない方であっても、言葉力を使うことで、新しい考え方を提供し、お客さんを今より幸せにすることができる素晴らしい仕事です。お客様をよりよい世界に送り届けられる素敵な存在だと思っています。
「Sales is cool構想」によって、自分の仕事に誇りを持てる人を増やすことはもちろん、言葉の専門家になりたい人に選ばれるような価値の高い仕事にしていきたいと考えています。